僕が子供の時、祖父が語ってくれたことが忘れられません。それは関東大震災の話しでした。関東大震災は今から100年前のことでした。
この震災で何と東京の6割の家屋が焼失した凄まじい地震でした。地震による倒壊での被災ではなく、その時に、亡くなった人のほとんどは、焼死でした。風に煽られ、木造家屋が次々に燃え盛り、多くの人が決断を間違って火に呑まれ焼死したんだよ。と語り始めました。なぜそんなにも多くの人が亡くなったのか?不思議でした。
集団心理がその理由でした。みんなが行く方向に行っていれば間違いがないはず!との考えに突き動かされ、その結果死んでしまったというのです。
その時、祖父は「みんながやっていることは常に正しい。多勢に従っていれば問題はない。といった思考停止状態に陥ってはいけない」ということを幼い僕に教えてくれました。
皆んながやってるから大丈夫!という決定的なリスク
先日、カナダの透析についての公式な情報に出会いました。
カナダでは、大きく分けて、在宅透析と施設透析に分かれています。施設透析は通常透析とセルフ透析にわかれます。セルフ透析は新しい透析で、施設で在宅透析のように患者が自ら機器操作を行う透析です。この研究結果では、こう述べています。
自由とライフスタイルを大事に考えている患者は、SCD(セルフ透析)を選択する傾向が強いという結論です。
この調査によると、
- セルフ透析を選択した患者は、自律性、独立性、柔軟性を重んじる傾向があったとのことです。
- 通常の透析では、これまでのライフスタイルが崩壊し、透析そのものが、患者と家族にとって主要な心理的ストレス要因の一つになっている、 SCD(セルフ透析)がこれらの崩壊を最小限に抑える方法であると述べています。
- 更に、セルフ透析を選択した患者は、セルフ透析を選択した患者は、不思議なことですが医療機関の強制ではなく、4時間以上の透析を週3回以上することにより通常の施設透析よりも十分な透析が行われていたというのです。
- 透析時間が長いほど死亡率が低下し、QOLが向上し、心血管の合併症を減少している事実から、透析施設そのもののポリシーが問われる、組織文化として時間の短縮はすべきではないと結論づけています。
日本では、ほとんどが施設透析ですから、自由度、ライフスタイルは患者さんの自由意志ではなく、施設の伝統的な作法に従わなければなりません。
そこには、残念ですが先ほどあげた自律性や独立性、柔軟性はありません。
もしあなたが、ライフスタイルを重んじ、自由を尊重し、健康を改善したいと考えているあなたは、多数に従うのではなく、この情報を契機にもう一度あなたの透析ライフを見直してはいかがでしょうか?
もしあなたが、自由や独立を尊重し、健康を改善したいと考えているのであれば、
9月18日(日)13時から始まる、Oasisフォーラムがお薦めです。
出典:
Why do patients choose self-care dialysis?
Kevin McLaughlin, Heather Jones, Carmen VanderStraeten, Cynthia Mills, Marilyn Visser, Ken Taub, Braden Manns
Nephrology Dialysis Transplantation, Volume 23, Issue 12, December 2008, Pages 3972–3976, https://doi.org/10.1093/ndt/gfn359