未来はリスクまみれの中にある
日本は大きく、また困難な転換期のただ中にあります。
JR北海道のレール異常の放置とそのデータの改ざん、カネボウ化粧品の白斑事件、
みずほ銀行による暴力団への融資事件、
一流ホテル・百貨店で相次いだ食材・メニュー虚偽事件など昨今の企業をめぐる不祥事の数々、
ビジョンを欠いた場当たり政治などでの「リスクマネジメントとリーダーシップの不在状況」を見れば、それは明白です。
このような事態を見ると、何か見えてきませんか?
組織の心理です。以前流行した言葉の中に「空気を読めない人」=KYという言葉がありました。
組織心理の中に同調性という言葉があります。
人は判断に困った時に他人の行動や言動を参考にして同調するという事です。
ここに根本の欺瞞の温床があります。組織の和を重んじるがあまり、リーダーが決断と行動を誤る
ことは枚挙にいとまが有りません。
コミュニケーションのうそ
KYを避ければとりあえず、波風立たない。何となくうまくいっているという誤解が生じます。
波風たたないのがコミュニケーションと勘違いしているのではないでしょうか。
たとえ表面的にはとりつくろっていたとしても、人や世間を騙せるのは一瞬です。信頼を損なうのも一瞬です。
よく人間関係やコミュニケーションをどのように改善するかという問題提起があります。
その多くは極めて表面的で薄っぺらなノウハウです。
ここで断言します。コミュニケーションほど難しいものはないと。
一瞬でコミュニケーションを築く等をうたっているノウハウ本、うそです。あり得ません。
何故なら、本質的な人間関係は、信頼の上に成立する物だからです。
信頼は一朝一夕にはできません。じっくり時間をかけて試されながら築くものです。
熟成といっても良いかもしれません。
私のクライアントで、マネジメントが非常にうまくいっている透析病院がありました。
部下は毎月の研修と改善活動で、みるみる成長してゆきました。
患者さんも増え、病院は成長軌道にのりました。
しかし、ほどなく職員から不協和音が聞こえてきました。
それは、職員が学習し行動を修正したものの肝心のリーダーが全く行動を変えていないという事への不満でした。
最初はちょっとしたリーダーへの不満でした。しかし、それが堆積すると不信感につながりました。
部下は日々学習をして人間的にも向上しました。しかし、リーダーは部下が優秀であればマネジメントはうまく行くと考えたのでしょう。
ここが大変な誤りでした。現状にあぐらをかいてい現場調整だけをしていると
いずれ、組織に綻びが生じてくるという事です。
断言できるのは、安逸な日々など存在しないということです。
先ほどの、企業の不祥事について透析を含めて多くの医療関係者は、依然として「対岸の火事」といった認識にとどまっているように思えてなりません。
「愛・平和・成長の反対は悪・戦争・退化などではない。それは無関心だ」という言葉がありますが、
私たちは時代の変動に対して無関心、無感動になっていては未来へのトビラを開くことはできないのです。
今こそ、リーダーが行動を起こす時なのです。