櫻堂渉の腰痛対策 完結編

地獄のレッドコードとは?

この間、レッドコードについて少しお話ししました。

「レッドコード」ってご存知ですか?
あまり知られていないと思います。知っている人はエクササイズ・マニアか?アスリートか? もしくは理学療法の専門家でしょう。

レッドコードは、リハビリテーションや機能回復に使われるものだそうです。

レッドコードって一見良さそうでしょ?
なんだか仰々しくて、海外ものだし、最先端っぽい。
ところがね、恐らくアスリートの人たちのリハビリには良いんだろうけれど、理学療法の先生に「腰のインナーマッスルを意識してください」と言われても、これがぜーんぜん!わからない。

でも先生は、「これが腰痛の改善には必要だ」と。

僕はなにがなんだかまったくわかっていないのに「そう、その調子!」と褒められてみても、自分の神経とインナーマッスルのつながりなんてさっぱりわからない。なんだかなー、このわかったようなわからないような? 釈然としない感じ。

わからないまま2ヶ月程続けたんですが、腰痛にはさしたる改善もありませんでした。

このまま治らなかったらどうしよう

当時の腰痛はどんな状況かというと、普通に歩いているだけで腰からお尻の付け根あたりが痛み、歩くのが辛くなってくるのです。

立ち止まって2、3分すると少し楽になるのでまた歩き出せるのですが、誰かと同行しているときには痛みを我慢しなければならないので、いつも「先に行ってください。僕は用があるのでここで。」と誤魔化して、人と一緒に歩くのを避けていました。

怖かったです。
この状態がもっとひどくなって、杖をついたり、最悪の場合車椅子生活になるのではと思えてきて、いやーな気分になったものです。

人間は不思議なもので「杖をつくのはイヤだなあ」と考えていると、杖をついている人が目に飛び込んできます。そうすると意外なことに、杖をついている人の中に、まだ年齢が若い人が多いことに気付きました。

ああ、大変だな。あんなに若くても杖をつく生活になったりするんだな。でも僕は杖はどうしても嫌だなあ、

と思いつつ、この痛みをなんとかしなければいけないと考えていました。

そういえば、レッドコードと同じ時期に、人に紹介されて鍼治療にも通いました。

しかし鍼も期待したような効果はなく途方にくれていたところ、知人から良い整体があるからと勧められて通うことに。

ところがこれも効果なし。それから、骨盤矯正。
次にプロゴルファーの腰痛を治療しているトレーナーが開発した民間療法。この方の動画を買って、自宅で柔軟体操やストレッチをしてみました。

そんなある日。
同じセミナーで一緒に勉強していた、理学療法士の大石先生とYoga療法の壺井先生と会食していた時のことです。
大石先生からいきなり「櫻堂さん、腰が痛いんでしょう」と指摘されたのです。

自分では人に気づかれまいと腰痛をひた隠しにしていて、会社では社員にすら気付かれていなかったのにもかかわらず、どうやら二人にはお見通しだったらしい。
不意を突かれた僕は反射的に「そ、そうです」と素直に答えていました。

おお!腰痛が消えた!

それから、この二人の施術というのか?レッスンというのか?を提案されました。
中年のオヤジがYoga? は? 俺はマッチョな男なんだからそんなことできるか!と見栄を切ったのです。

Yogaといえば、ピンクのレオタード、複雑かつ非人間的なポーズというイメージ。おいおい俺がそんなのできるかと思ったのですが。

しかしそのレッスン風景を見学すると、いやいや巷のYogaとはまったく違うではありませんか。
この目で見るまで、ピタッとしたウェアを着てポーズをとる自分を想像して、とてもじゃないけどできるもんか、男がすたる!と考えていたのです。

そこで行われていたのは、巷と僕のイメージに大いに反した呼吸法が中心となるレッスンでした。

いやいや、僕は腰が痛いだけで呼吸器は大丈夫なんですと反論してはみたものの、騙されたと思ってやり始めました。

大石先生の施術も、とても細かい(微細な、というらしい)体の動かし方が中心で、こんなソフトなことで俺の腰が治るわけない!と思えました。「最後は2度目の手術が待ってるぞ!」と整形外科に脅されたのですから。

色々な事を試したけれどなす術なく、こんなアヤしい世界にまで足を踏み入れることになってしまった。万事休す。ヤバイ。
ほんとにそう思ってました。

ところが。

30年ものの椎間板ヘルニアの痛みが、綺麗さっぱり消えていったのです。
その期間、わずか3ヶ月。

30年。こんなに苦しんできたのに、たったの3ヶ月で、しかも「こんなことできるもんか、効くもんか!」と思って信じていなかったのに、痛みは消えた。

万人がそうなると言えないのでは?と僕は思いました。クスリでいえば極めて良い効果が出た例、即ち著効例じゃないのかと思いました。いや、驚きました。

病院をはじめ、さまざまな施術をさんざん渡り歩き、もう諦めかけていたときでした。
なんと、解決策に出会ったのです。

痛みが消えてやがて1年になろうとしています。

結局のところ、解決のために鍛えた腹筋も、思っていたのとはまるで違う腹筋でした。呼吸をするときに使う深層の筋肉だったのです。
この二人の先生は、「外から見える筋肉を鍛えても痛みは解消しないんだよね」と笑います。彼らにとってそれは常識で、痛みがどんな風に取りされるかを知っている様子なのです。

呼吸器は悪くないよと僕は抵抗しましたが、呼吸を使うのは自律神経を調えるためで「体の中に手を入れて」ストレスに対処する方法だとのこと。

ストレスはあって当たり前だと思ってきましたが、ストレスに対する反応として肉体や精神が痛めつけられ、結果として僕の場合は腰痛が現れたという。もちろん他の症状や病気も同じ理由で起こり得るというわけです。

痛みの消失はとても自然に起こりました。
ある時、先生に「最近よく夢を見ます」と話すと、「ぐっすり眠れていますか?」と問い返されました。
そういえば、確かに。以前は夢なんて見なかったし、眠りが深すぎて朝起きるのが大変な時もあるほど。
前と違っている。

更に、「痛みはどうですか?」と尋ねられて、そう言われれば痛くないと初めて思った。以前はずっと痛みを気にしていたのに、痛みがないから無くなったことにも気づかなかったのです。

それは同じことの別の側面だと先生は言う。そんなこと、思いもよらないではないですか。
痛みがなくなるとか眠れるようになるとかいうことは、先生たちの世界観からすると単なる入り口にすぎず、ストレスフルな社会で生きるタフさを養い、人としてよりよく生きることが究極の目標だと。なんだか壮大だな!

でも痛みがなくなり、おまけに眠れるようになるだけでもすごいことじゃないですか? 
みんな僕と同じように、問題解決できずに長く苦しみ続けているのですから。先生たちが目を見交わして「腰痛治るよね」と言っているのをずっと疑ってきましたが、意味がようやくわかった(ような気がする)。

医療の世界で自分が知らないことは、誰も知らない。そういう自負がありましたから、ほんとうに驚いたのです。
いやはや、こんな世界があったとは。

とにかく、僕の腰痛解消のための、放浪の旅は終わりました。

赤いコードに吊られてまで苦しんできたのに、あっさり痛くなくなるなんてなんだかちょっと悔しいよね笑



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