人生の価値とは?

ここであまり固いお話をするつもりはないのですが、今回Oasis Forumで登壇した患者さんから大変刺激を受けたので、皆さんにシェアしたいと思います。


まず”Oasis Forum”とはなんなのか、ご存知ない方もあると思いますのでご説明しておきましょう。

医療法人社団 Oasis Medicalと、透析施設のシステムデザイン・マネジメントを行うAlba Lab株式会社は、毎年、全国の透析患者さんのためにフォーラムを開催しています。今年で第6回目を迎えました。
昨年からはOnlineでの開催となりましたが、遠方からの参加者の方にも喜ばれています。

年に一度のこの場で、患者さんにとってより良い情報を提供できるよう、心血を注いで準備をしています。
今回は、健康結果を劇的に改善するための理論についての解説、そしてその実践方法についてお知らせしました。


さて、Oasis Medicalの理念は「患者さんのQOL : Quality of Life(生活の質)の向上」です。

その理念はあらゆるところに及び、どのような小さな点に関しても決して揺るがせにしない覚悟を持って臨んでいます。
Oasis Medicalの行動の基盤となって、あらゆるサービス、サービスを提供するハー ドウエアの全てを貫く理念です。

毎年開催しているOasis Forumも、この理念に基づいて企画・運営をしています。



さて、今回Oasis Forumで登壇してくれた患者さんが「寿命が長いこと=QOLの向上ではない」という課題提起をしてくれました。

透析ではいかに死亡率を下げて、生存を延長するかと言う点に焦点が当てられます。これはつまり医療統計の視点であって、患者さん自身のリアルな視点に由来しているものではありません。

彼が言いたい真のQOLとは、彼にとっての「活きた時間」。
単に生存時間が長ければいいということではない、ということを指摘してくれました。


合併症の発症を抑えること
体調良く毎日を過ごすこと
生きている充実感を得ること
活きた時間を生きること

彼の言葉の本質は、こういうことだと思います。
正にその通りです。私は心の中で大喝采でした。

現在、彼はOasis のSDCで透析をしながら 同時にオンラインで仕事をしています。
彼は、透析のために会社を早退する必要がありません。透析をしながら仕事をしているからです。

彼は、上司や同僚に気兼ねする必要がありません。
彼は、HDP(透析量)を上げ、良好な体調で毎日を過ごしています。
彼は、自らコントロールして合併症を抑制しています。

彼は自らの治療を自分で主体的に選択することで、納得のいく時間を過ごしながら人生を生きています。

彼が言っていたのはこのことです。
今の彼はまったく遜色なく、病を抱えていない人と互角に仕事をしています。そしてマネジメントの一翼を担うほど出世しています。

彼ほど、セルフ透析の意義を感じている患者さんはいないでしょう。
彼は「SDCで透析ができてほんとうに幸せだ」と言います。


人生を長く生きることも生のクオリティのひとつでしょう。しかしその、長くあって欲しい人生の一瞬一瞬のクオリティもまた問われねばなりません。
一瞬の生のクオリティは、連続する時間のなかで満足が積み重なることで、ようやく作られていきます。

私はその環境をサポートするお手伝いをするわけですが、それでも私がやらなければ現時点で誰もやってくれはしない環境作りがあります。

よりよく生きるために主体的な選択を行うと決心した患者さんの望みと、よりよく生きてほしいという私の抑え難い望みがかけ合わさった時、そこにひとりの人の”より上質な生”が現れるのだとしたら、この上ない喜びです。

彼の日常を垣間見るたびに、QOL(Quality of Life)の本質とはすなわち、LTV(Life time Value):人生の価値であると、強く感じます。

彼のように幸せな透析患者さんがひとりでも多くこの世に増えて欲しい。そのための私の仕事は、これからも続きます。

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