リスクを避ける行動が命取り

今年度から大学で「起業論」を教えています。

当初、学科長から「起業について学生に教えて欲しい」との要請をうけた時、

私自身が起業論を学問的に研究してきたわけではないのでお断りしようと 思っていました。

しかし、学科長の熱意に推されて学究的な資格はなく、

実務者としての 資格の片鱗はあるかと思い、

結果引き受けることに。

学生に貢献できるのであればと思い、授業を開始しました。

学科長は恐らく私自身が経営大学院で学んだキャリアから

私を選んだのだと思います。

しかし、実のところ世の中にMBAホルダーは沢山いますが、

決して起業する人は 多くないというのが実態です。

何故、MBAは起業する人が少ないのか?

卒業以来この事がずっと頭から離れませんでした。

何故、同級生達はせっかく経営学を専門的に学んだのに実践に生かさず、

卒業すると企業の中間管理職として戻って行くのでしょうか。

あるいは管理職として他社に転職するのでしょうか?

私の同級生の例では、起業している同級生は記憶しているだけでも 2人だけです。

何と80名中の私を含めると3名だけ。

この現実はどういう事でしょうか?

起業している人は極めて 少ないといった状況です。

数少ない起業組ですが、私自身、この10年間に2つの会社を興し、

それなりに経営しています。

(決して、立派な企業を作り上げたわけではありません)

しかし、ある時その理由が判りました。

会計顧問と話していたときの事。

「櫻堂さん、サラリーマンで高給をとっていたのに。 起業しない方がよかったんじゃない?」

会計顧問はこう言い放ちました。

確かに当時ある程度の給与を支給されていました。

(しかし、起業とは自分の生き方ですから、お金だけで比較する事はできないのです)

そうか?皆さんこのように考えていたのですね。

つまり、起業は損だ。起業はリスクに溢れている。

だから、危険な事をする人の気が知れない。

こう考える人が多いから、 そして合理的に考える人が多いから、

その結果、起業する人が少なかったのですね。

一方、授業の方はどうかというと、これが非常に良かったと思います。

集まっている学生が、そこそこ真剣な学生が多い。

その結果、私の方も次第に講義に投入する熱量が変化してきています。

未だ見ぬ世界を見る

実際に、講義では起業で苦労した事や、悩んだ事を話すと、

学生の目が違ってきます。

そこに、学問ではなく経験があるからでしょう。

つまり、聞き手は教科書をなぞる講義を聞きたいのではなく、

教師の体験を通して未だ見ぬ世界を見たいのだということに気がつきました。

経験してきた事、失敗してきた事を整理して判りやすく話すと、

学生は素直に聞き入っています。

失敗したことを話すと、学生に軽蔑されるのではないか?

と恐る恐る話しましたが、 それは全くの杞憂でした。

学生は、そこにある種の親しみを感じた様です。

決して軽蔑されませんでした。

どうしても、教師や演者は人から尊敬されるように 振る舞わなければならないと考え、

自分の知識の量を誇示したいと考えがちです。

しかし、そこに集中すればするほど、聞き手は興味を失って行く。

その人が、実体験として失敗した事、 そしてその経験から何を学び、

どのようにして復活したのか? ここに興味を示すのです。

誰しも失敗したときは落ち込み、悩みます。

失敗の数と失敗を積み重ねる事で堆積した失敗経験は、

「失敗知」としてその人に堆積して行きます。

そして経験や知識から導かれた人格の厚みを増して行く事になるのです。

失敗の経験を重ね「失敗知」を意識する

行動しなければ失敗をしません。

リスクを避ける行動をすれば失敗をしません。

何もしなければ多くの場合、失敗しません。

現状維持です。

だから失敗したくなければ、行動しなければ良いという事になります。

そして、行動しない人、リスクを回避してきた人は、失敗しないわけですから、

「失敗知」がリスクをとった人よりも圧倒的に少ないわけです。

「失敗知」が多ければ多いほど、次に同じ失敗を 繰り替えさないわけですから、

その結果、失敗の確率が減ります。 そして、成功の確率が高くなります。

ここが重要なポイントです。

取り返しのつかない失敗をした!

一見、頭の良い人は、賢い判断をしてリスクを避けてきたつもり

になりますが、 実は失敗の確率がジリジリと上昇してきているのです。

また、人としても薄っぺらい人格しか身に付かないということに なりかねません。

逆説的ですが、

成功したければ数多くの失敗をして 「失敗知」を早いうちに確立するべきなのです。

だから、リーダーは自らの失敗を恐れる必要はありません。

だから、リーダーは部下の失敗を恐れる必要はありません。

むしろ、積極的に失敗をするという姿勢が重要になります。

失敗する事が成功への近道なのですから。

「取り返しのつかない失敗をしたらどうするのですか?」

こんな声が聞こえてきそうですね。

そもそも、取り返しのつかない失敗とは何でしょうか?

それは、人の道に反する行動をとった場合の事でしょう。

人の道を外していないのであれば、取り返しのつかない 失敗などないのです。

だから、リーダーは勇気を持って行動する。

ここにつきます。 部下の行動を奨励する事です。

そして、 失敗から学びに変える事こそがリーダーの役割だと思うのです。

皆さんはどのように考えますか?

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